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【イベント主催者インタビュー#01】IVS(インフィニティベンチャーズサミット)

国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2021 NASU」が、2021年11月17日(水)~19日(金)に、ハイブリッド形式で開催(オフライン参加:540人規模/オンライン参加:450人規模)され、当イベントの企画・運営・進行を、イベントレジストがサポートしました。
2007年に始まったIVSは、スタートアップのエコシステムを盛り上げるべく、インターネット企業の経営者・経営幹部・投資家が、東京以外の都市で一堂に会するオフサイト形式の招待制カンファレンスで、今回で27回目。
主催されている、IVS株式会社の島川氏、岡田氏に、IVSとIVS2021 NASUへの熱い想いを伺いました。

「IVS2021 NASU」についてのイベントレジストご利用事例も、ぜひご一読ください。
[イベントレジストご利用事例] IVS株式会社/ IVS2021 NASU

IVS株式会社 代表取締役社長 島川 氏

IVS株式会社 代表取締役社長 島川 敏明氏
1992年12月29日生まれ。理研で顕微鏡を覗いていたのに気づいたらスタートアップ業界に飛び込んでいた人|経営者限定カンファレンスIVS代表を27歳で引き継ぎ、コロナ禍でも起業家支援ができるよう奮闘中|シード〜シリーズAスタートアップに投資しています。今年の目標は狩猟免許取得。
理研 研究員⇒17LIVE経営企画室長⇒Headline Asia Principal / IVS CEO

IVS株式会社 IVS Office / BizDev 岡田 氏

IVS株式会社 IVS Office / BizDev 岡田 友和氏
2017年よりIVSの運営に従事。国内外でのIVS開催と2020年には完全オンラインでの開催を経験。
スタートアップ/大企業/行政の垣根を越えコミュニティを盛り上げていくべく活動。


--- IVSについて教えて下さい。

IVSは、スタートアップのエコシステムを盛り上げるべく、経営者同士が東京以外の都市で集うオフサイト形式の招待制カンファレンスで、2007年に始まりました。日頃多忙な経営者の皆さまが一堂に会して、学びあって繋がり合う、そういった場を提供しています。
これまで開催地として、日本国内では神戸や金沢、海外では台湾やタイのバンコクなどでも開催した実績があり、海外からも参加していただいていることは、IVSの一つの大きな特徴だと思っています。
また、IVS LAUNCHPADは、事前に厳選されたアーリーステージのスタートアップが、投資家・VC(ベンチャーキャピタル)・大手企業など審査員の前で、約6分間、自社サービスの紹介やデモンストレーションを行うピッチコンテストで、起業家たちの白熱したプレゼンテーションを前に盛り上がる、IVSのメインコンテンツです。

--- これまでにIVSに参加した人数は通算で何名ですか?

2007年に初めて開催してから約15年の歴史がありますが、年々規模が大きくなっており、スタートアップ企業の経営者・経営幹部・投資家を中心に、約20,000人の方にご参加いただいています。
初期の頃に参加されたときには学生だった方や、スタッフとして参加した方が、スタートアップを起業したり、もともと起業していた方が次の会社の立ち上げに挑戦していたり、時間の流れとともに別の立場で再度ご参加いただくこともありますので、そういった点でも非常にユニークな場になっていると思います。

--- 島川様は、2019年に神戸で開催されたIVSより代表として全体指揮をとられてきましたが、代表就任のいきさつや、就任時のお気持ち等をお聞かせください。

IVSが立ち上がった当初の2007年には、経営者向けのカンファレンスが他になかったので、スタートアップのエコシステムをこれから作っていく!という時代でしたが、それから10年以上たつと、VCや投資家もかなり増加しましたし、彼らが開催するイベントなど、ほかにも数多くの経営者向けのイベントが立ち上がりました。

経営者向けのカンファレンスを長年続けていると、コンテンツや運営のやり方、価値提供がマンネリ化してきているとも感じており、その中で改めて振り返ると、“スタートアップのエコシステムを立ち上げる”という当初のIVSの目的は、業界的に達成されたのではないかと思っていました。
そこで2019年に、これまでの価値提供とは違う、新しいIVSのあり方を模索すべく、IVSのコンテンツを変えていこう、運営母体、運営メンバーも変えていこう、という決断があり、僕たち若手メンバーが思う「若手のスタートアップ経営者の皆さまに求められ、彼らに還元できるようなカンファレンス」を目指して、代表に就任しました。前任の代表から、新しいIVSを作ってほしい、という非常に難しいお題を託されました。

もともと僕のバックグラウンドとしては、学生時代は生物学を専攻し、部屋にこもって研究をしているタイプで、人前に立ってイベントを実行していくようなタイプではありませんでした。そんな若輩者が、歴史あるカンファレンスで、業界でも重鎮の方々の前に立って、場を仕切っていけるだろうか、という大きなプレッシャーを感じていました。
就任当時に登壇した映像がどこかに残っているかもしれないですが、ガチガチに緊張していた記憶があります。

--- 代表就任から数年たって、今どんなお気持ちですか?

就任当時は右も左もわからず、既存の組織のなかでがむしゃらにやってきましたが、当時から今も変わらず心がけていることは、常に新しいIVS、新しいカンファレンスのあり方を見つけるために、PDCAを回しながらその機会を模索することです。
今では本当にありがたいことに、内部でも外部でもサポートしてくれる多くの方々と出会えましたので、飾らずにありのままの自分の立場で相談させていただき、ポジティブな形で一緒にIVSを作っていくことができています。
皆さまに助けられて、実現できることもとても増えたので、チームとしてこのスタートアップ業界をよりよくすべく、業界にインパクトを与えていきたいと思っています。

--- コロナ禍でリアルイベントが開催できなくなりましたが、IVSの立ち位置や、目指すべき方向はどのように考えていましたか?

2020年のはじめは、まさに京都での開催を控えたタイミングで、会場も決定し、地元企業の方とも具体的な準備を進めていましたが、コロナ禍によってオフラインのイベントが軒並み中止となり、あらゆる業界が突然オンライン化を強いられました。
リアルでのスタートアップの出会いの場、学びの場が急になくなってしまった中で、僕たちもオンライン化について検討しました。
以前に、台湾発祥のライブストリーミングサービスである、17LIVE(ワンセブンライブ)日本法人の立ち上げに携わった経験があり、ライブ配信のノウハウなど技術的な面でも人材が揃っていましたので、オンラインでチャレンジすることをスピーディーに決めることができました。この規模のカンファレンスのなかでもいち早く、オンライン開催に舵を切ることができたように思います。

--- IVSでは、LAUNCHPADのみをオンラインで実施、さらにはテーマを絞って参加企業を募集するなど、かなり挑戦的な取り組みもされましたが、そのあたりの感想はいかがですか?

コロナ禍で突然オンライン化を強いられましたが、非常にポジティブな一面もあると思っています。それは、スタートアップのIT系サービスが普及することによって、スタートアップが目指していた世界線が、一気に加速して訪れたことです。
僕たちもこの変革の時期を押さえに行く、ドライブさせるために、さまざまな切り口でイベントを行って、より多くのスタートアップがIVSに関われるような取り組みをしてきました。
ご質問いただいたようなこともそうですし、開催形式として、オンラインのみの形式やハイブリッド形式、オンラインのネットワーキング形式など、さまざまな方法を試し、開催ごとに、参加者やスポンサーの方に感想をヒアリングしました。
新しい時代が来たと思っています。そこにフィットするもの、求められているものをいち早く見つけるために、IVSとして何ができるかを徹底的に考えました。

--- オンライン化によって得た経験や教訓などがあれば教えてください。

オンラインのイベントを次々やっていくのは、正直なところ大変でしたが、そこで改めて気づかされたのは、イベントの設計や、参加者の満足度を上げることなどの、イベントの“手触り感”のようなものを作っていくことが、本当に大事だということでした。どのような形式で開催したとしても、参加者の方がIVSに求めているのは、「つながり」を感じられるかどうかが非常に大きいと思います。
その求めに応じるには、「つながり」を意識したイベント設計・運営を行うことがとても重要で、反対にそれを意識しなければ、一般的なイベントになってしまい、他との差別化を図るのは難しいと感じました。

--- 今回は久しぶりのオフサイト、かつ那須のリゾート地でのアウトドア開催という前例のない開催形式でしたが、この開催方法に至ったいきさつを教えてください。

今までのやり方は取り壊して、まずは小規模でもいいので、熱狂できる人たちを増やしたい、スモールで素晴らしいものを、熱狂的なものをつくろう!というコンセプトがありました。従来のやり方として、ホテルのワンフロアーを貸し切って、そこに参加者を缶詰めにするようなスタイルがあったので、それを見直したいと思っていました。

そのきっかけは、以前、起業したての経営者の方々とお話しした時にいただいたご意見です。参加者のお一人に、今までのようなカンファレンスには行きたいと思わない、という方がいらっしゃったので、理由を聞いてみると、「そもそもカンファレンスというのはとても疲れる場で、多くの新しい人に話しかけるのは心理的なハードルがあり、ストレスフルで今っぽくない」と言われました。
ではどういうものなら参加してみたいかを尋ねると、「参加者同士が自然体でいられて、交流ができるようなもの。例えば、キャンプのように一緒に作業をする。カレーを調理しながら、自然と隣に立って玉ねぎを切っている人が、実は経営者の偉い立場の方で、玉ねぎの切り方がちょっと下手ですね、という程度の会話をしながら、自然と親睦を深められる。いわゆるカンファレンスとは全然違う出会い方ではあるが、それが事業にも活かせる出会いになれば今っぽいし、実現可能なのではないか」というご意見でした。
非常に面白い視点だと思いましたし、共感できるところがありました。そのことを内部のメンバーとも話していたところ、このコロナ禍の状況もあるので、広々とした会場で本当に開催してみるのはどうか、と話が進んでいきました。

会場候補のひとつとして那須の会場に問い合わせてみたところ、会場の方と意気投合して、まずは小規模なイベントをやってみることにしました。開催してみると、上場企業の社長に対して、スタートアップの参加者が臆せず質問するようなことが、自然と発生していました。開放的な自然の中で、コテージのようなプライベート空間が、経営者の別荘に遊びに来ているようなアットホームで非日常的な空間となり、話しやすく交流しやすかったのだと思います。
50人規模の小さなイベントでしたが、僕たちの目の前で起こっているこの現象、この熱を、規模を拡大して提供することができれば、今までのカンファレンスや今までのIVSとは全く違う、熱狂的な空間が生み出せるのではないか、という思いで、今回の那須の本番に挑みました。

--- IVS2021 NASUは、既成概念にとらわれない自由度の高いイベントだったと思いますが、久しぶりのリアルイベントの全体指揮をとられて、いかがでしたか?

今回は、「起業家の村を作る」というゴールのイメージがありました。今までのカンファレンスのネガティブなポイントとして、昼のセッションでは会場内でお話ができますが、夜の交流の時間には、知人どうしで少人数のグループに分かれて、会場外の飲食店などに散り散りになるという点があり、それが普通の状況でした。
僕たちとしては、特にスタートアップの方には、レジェンド級の経営者や投資家の方としっかり交流して欲しい、という意図があります。那須では、24時間一緒にいるような、全てが会場内で完結する場を作りたいと思っていました。

スタートアップの業界は狭い業界で、もともと顔見知りだったり、友達の友達くらいの近い距離感の方が多かったりするため、ネガティブな意味で、クローズドで内輪なコミュニティの「スタートアップ村」と揶揄されることがあります。
IVSでは、ネガティブな印象を逆手にとって、村を具現化したいと思いました。初めて参加する人でも、物理的に会場に行けばコミュニティに参加できるように、そのエリアに「スタートアップ村」を出現させることを目指しました。たとえば、昼の時間帯には各セッションに分かれてそれぞれ参加していただき、夜には焚き火のもとに皆が集まって交流できるようなイメージです。

具体的にどう実現するかは、非常に難しいところがありましたが、企画段階からイベレジさんや会場の方々にも加わっていただき、チーム一丸となって一緒に作ることができ、主催者として心強かったです。

--- IVS2021 NASUの開催は、過去最高の参加者満足度を獲得されたとのことですが、その要因はどこにあると思われますか?

コロナ禍のもとで、自分たちの価値を徹底的に考えてきましたが、僕たちなりのひとつのアンサーが、今回の那須での開催でした。曖昧だった価値観を言語化していく作業は、とてもこだわってやってきた部分でした。
スタートアップの経営者が交流できる場を提供したいという意図で、ひとつひとつのコンテンツを作り、イベントの設計を行いましたが、それらを参加者の皆さまが汲み取ってくださったことが、満足度につながったポイントだと思っています。

振り返ってみても、今回はとても余白のあるイベントでした。那須の会場の周りには飲食店も何もないので、会場内でどう楽しむかが、参加者ひとりひとりに求められていました。その中で各々が楽しむための工夫をして、ここで集まろうとか、皆で一緒にお風呂入りに行こうなど、参加者同士で提案したり、積極的に交流したりする雰囲気があり、ある意味では運営側のような動きがありました。

別の言い方をすると、準備されたものを受動的に楽しむだけではなく、参加者それぞれが、どうすればより楽しめるかを考えて、能動的に行動するという、見えないルールのようなものができあがっていました。あとから聞いて、参加者同士だけでそんなことが行われていたのかと、驚いたこともあります。そういうプラスアルファの部分を、参加者ご自身がそれぞれに作ってくださいましたが、その余白があったことが、今回の成功の大きな要因だと感じています。

このコロナ禍において、閉塞的な状況が続くなかで、そのフラストレーションのぶつけどころとして、今回のIVS2021 NASUがあったように感じています。参加者の方々の能動的な行動や、主催者としてのチャレンジングといえば聞こえは良いですが、無謀ともいえる挑戦も、フラストレーションが具現化して実現したように思います。
今回の開催は大きな学びとなりました。今回得たことをもとに、参加者おひとりおひとりが、どうすればIVSを自然体で楽しんでいただけるかを考え、運営側としての関わり方や役割を、しっかりと提示できるようにブラッシュアップし、次回以降のイベントに活かしていきたいと思っています。

--- 最後に、次回のIVS2022 NAHA(那覇)に向けての意気込みを伺ってもよろしいですか?

今回の那須を踏まえて、那覇ではより大きく挑戦的なものにしていきます。世の中の状況を見ながらにはなりますが、海外の企業家・投資家の方も300~600名程度は集めて、1,000人以上の規模での開催を予定しています。(那須 オフライン参加:540人規模/オンライン参加:450人規模)
最新のトレンドを学びつつ、那須のようなアットホームな雰囲気のイベントを成し遂げるために、より多くの方とコラボしたいと思っています。すでに何社かお声掛けもいただいておりますが、IVSを一緒に盛り上げてくれる企業や団体の方々と協力していきたいですし、イベレジさんとも一緒に作れるといいなと思っております。

閉塞感のあるこんな時代だからこそ、熱狂を生み出せる仕組みづくりを行い、那須の勢いそのままに、那覇でもより新しい形をお見せしたいです。スタートアップとそれを取り巻く皆さまにとって、居心地のいい場所づくりと同時に、運営側にとっても居心地のいい場所を目指しています。

IVS2022 NAHAについてのお問合せは、メールにてお願いいたします。
ivs-office@infinityventures.com

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