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イベレジのおかん、卒業エントリ

2020年4月30日にイベレジを卒業された、創業メンバーの小笹さんから、今までイベレジを支えてくださった皆さまや、イベレジメンバーに向けたメッセージをいただきました。
#退職エントリ を、企業の公式noteから発信するのも、あれですが、そのぐらいの温かな関係性ということで、ご本人の許可を得て、謹んで公開いたします。

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今年2月にCOOを退任し、引継ぎなどを経て今日が最終日となりました。

2011年に創業して、今年の3月から10期目に入りました。
会社という箱を作ってから、この9年はあっという間で、私個人的には34歳から43歳までの9年間をこのイベレジに文字通り心身ともに注いできましたことになります。
結果、私が生み出したものってなんだったんだろうと考えた時に、今の心境はちゃんと書いておきたいなと思ったのでまとめてみることにしました。

一部界隈では「イベレジのおかん」と言われ、そんな呼ばれ方も好きでした。
イベレジは、2019年6月に日本経済新聞社へ株式譲渡をおこなうまで、CEO / CTO / COO の3名が経営に関する意思決定をしてきました。
資金調達の時にCFOはいなかったし、私はマーケをやるつもりだったのにCMOではなく、優先度、重要度的にCOOになりました。
結果、COOの仕事の幅は営業、マーケ、財務会計、人事労務、総務…と、開発以外の仕事はほぼ網羅。
家のことはおかんに聞けばいいよね、みたいな状態だったなと、自分でもそう思います。

イベレジの9年を振り返ると、本当につい昨日のことのようにいろんなことを思い出し、どれも振り返ったらきりがない。
本当は1年目からつらつらと書いていたのですが、1年目のエピソードですでにものすごい長文になってしまったので、エピソードを書くのはやめました。
ただ書いていて1個だけ、ここが私の原点だったんだなぁと思うことがあるので記録しておきます。2011年3月11日。震災の日のことです。

2011年3月11日は、まだ会社を設立する前、今のイベレジの最初の形を生み出すために、その時の関係者が初めて全員顔を合わせたミーティングの日でした。
こんなサービスにしたいね、ロゴはこんな感じがいいね。会社のカラーは赤寄りか青寄りか。そんな色々なことを会話している最中に、あの大きな地震がやってきました。
この時は株主さんになってくれる予定の会社の会議室を借りてミーティングをしていて、その会社の人もたくさん仕事をしていました。当然のことながら、ミーティングは中断になり、ミーティングに参加していたその会社の人は、会社の指示を仰いで帰宅準備をはじめることになります。
私はその当時、イベレジのプロジェクトがはじまるかたわら、会社には属さず一人でやっていました。
当然ミーティングで場を借りていたその会社とは別行動になります。家まで5時間かけて徒歩で帰り、その時やその後何ヶ月かに渡って感じた孤独感は、今でも忘れられません。
会社や組織って、会社のチームや同僚って、こういう時に精神的な支えになってるのかもしれない、そんなことを考えました。

この経験は、振り返ってみると、私がイベレジにかける愛情のきっかけでした。
会社のメンバーを家族のように愛し、何か困ってるなら助け合い、がんばっている姿を「見てるよ!」と応援する。そんなイベレジを作っていきたいと思いました。
それは社内だけでなく、社外に対しても。イベントの主催者さんやイベントに携わる人を愛し、困ってるなら助け、そして応援すること。今のイベレジはそんなメンバーばかりだと、自信を持って言えると思います。

2011年、いちからサービスを立ち上げ、手探りのところからイベレジを評価してくれるお客様が増えていき、2014年前後の資金調達を経てようやく自分たちのオフィスを借り、第一号社員を迎え入れ、彼女が初日ニコニコしながらオフィスのドアを開けて入ってきた時の様子は、今でも忘れられません。
こんな名前もよく知られていないような会社に、初めての社員として入ってくれた天真爛漫とした彼女に対して責任を持たないといけない。彼女がいつか辞めていく時に、イベレジは本当に素敵な会社だったと思ってもらえるような会社にしたいと強く思いました。
続いて翌月に2人目の社員。この2人と、株主企業から出向してもらった1人の3人がイベレジの顔としてお客さんと接しているのを見て、この会社を、続いていく強い会社にしようと、そう思ったのでした。

日々の営業活動は、まだまだリソースが足りなくて、私もまっさきに先頭を走ってました。同時にこれでは長期戦はできないなと思い、マーケ施策を急ぐことになります。
イベレジの提供するサービスは、リードタイムが短く、かつ顧客である主催者が瞬間的に検討を始める性質があり、ニーズが発生したタイミングできちんと接触が取れ、イベレジのことをすぐに理解してもらえて問い合わせをもらえるような施策がないかなと思っていた時に、Google 時代の上司から伺ったインバウンドマーケティングのコンセプトを理解し、施策を実行してみようと思ったのでした。
イベレジのマーケティングの軸がインバウンドマーケティングであることは、2014年にこの施策を走らせてからずっと変わっていないし、マーケのメンバーが入って私の業務を移管できたタイミングから、ものすごい勢いで加速して、強いものになっています。

代表と私で売っていたフェーズから、人が増え、新卒社員も入り、そんなみんなを見ながら、この人達をちゃんと責任持って守らないとなあと思いました。
そのためには、自分が強くならないといけない。何が起きてもみんなを守ることができる知識と、経験と、精神的な強さを身につけないといけないと思いました。そうしないと、みんなも強くならないし、会社も強くならない。そんな覚悟を決めて、いつも誰かが私を見ている、と思いながら仕事をしていたし、それが私にとっては支えだったりもしたのでした。

そんなイベレジも、もう10年目に入りました。

ここまで、イベレジを、私を支えてくださり、数え切れないアドバイスと経験をくださった新旧株主のみなさま、仕事の先輩方、イベント主催者のみなさま(イベレジを信じて使ってくださった初期のイベント主催者のみなさんは特に!)、イベントを一緒に作り上げる同士のみなさん、私のマーケ頭をアップデートしてくださる元上司や先輩方、ファイナンスや人事労務の知識が皆無状態だった私にとことん付き合いアドバイスをくださった外部パートナーのみなさま、みなさんのおかげで、なんとかやってこれました。正直こんなに多岐に渡る業務は一人でできるはずがなく、それぞれの専門知識がある方々なくしては、今のイベレジも私もありません。


イベレジのみんなへ。

イベレジは去年日経グループに入り、ちょうど次のステージへ突き進むタイミングです。
それを支えてくれるのは、みんなひとりひとりです。誰が欠けても、誰が手を抜いても成り立たないです。きっとまた楽しいチャレンジができる10年目のはじまりになると思います。
誰もが予想していなかったことがおきて、今はきっとこの先の不安もあると思います。
だけどイベレジはもともと何もないところからはじまったスタートアップです。誰のために、何を提供するのがイベレジらしいのか、きっと見えてきます。

そしてみんなに改めて伝えたいこと。
まずひとつは、ひとりひとりが、サービスを売る人・サービスを作る人ではなくて、サービスをより魅力的に提供できる人、だということです。
あるラインまでは誰でもサービスを売ることはできます。そのサービスが良いものであれば。でも、それを超える対価をいただこうとすると、サービスの強さだけでなく、自分たち個人や会社が、何を提供できるかという要素が加わります。
それは人によって変わります。自分の得意領域、お客さんが求めていること、それをじっくり、大切に考えながら、単にサービスを売るだけの人にならないでください。私じゃないとできないことをイベレジで見つけて、磨いてください。がんばりは、必ず誰かが見てくれてます。

ふたつめ、想定していないことがおきた時ほど、丁寧に、思いやりを。
仕事をしていれば想定していないトラブルや、不可抗力や、思ってもいなかったミスも起きるかもしれません。そんな時、誰もがあわてたり、自分を責めたり、早く対応しなきゃと思うでしょう。もちろん最短距離で解決することが重要ですが、その前に一つ呼吸を置いて、今のイベレジがそうであるように、まずはちゃんと共有して、一人で解決しようとしないこと。何か起きてしまった時ほど、社内でのコミュニケーションも、社外の人とのやり取りも、集中して丁寧に。そして思いやりを持って助け合う。そうすればきっと、そんな体験はつらい思い出ではなく、自分の成長の栄養になります。

みっつめ、最後に。
イベレジのみんなは、本当に素直です。思ったことをちゃんと言ってくれると思ってます。私も思ってることは素直にみんなと話をしてきたと思います。そうやってこれからも何かあった時にみんなで解決していってほしい。それは組織がこれから今より大きくなった時でも。そして助けて欲しいと思った時には素直に言って、周りが助ける関係を続けていって欲しいなと思います。必ず誰かが助けてくれます。これも、社内だけでなく社外の人ともです。常に誰かのそばに寄り添う、大丈夫だよと言ってあげられる、そんな人達でいて欲しいなと思います。

愛あふれる、イベレジのみんなは私の誇りです。ありがとうございました。

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